過去記事 2018年 


広島市長選に向けてアピール発表

広島のマスコミ関連3団体 

 

 広島で活動する広島マスコミ九条の会、日本ジャーナリスト会議(JCJ)広島支部、政府から独立したNHKをめざす広島の会の3団体が12月14日、来春の広島市長選に関するアピールを発表した。                               (18.12.22)

 

市民の願いにこたえる広島市長を誕生させよう

 

この秋、広島へ里帰りしたサーロー節子さんの呼びかけに、私たち市民は大きく心を揺さぶられた。

彼女は「具体的な行動を起こそう」と繰り返し訴えた。「被爆地が核兵器禁止条約発効への動きを率先することは、人道的な責任です」と言い、広島がその役割を果たしていないといら立ちを隠さなかった。唯一の戦争被爆国でありながら、核兵器禁止条約に反対の態度を崩さない日本政府に向け、「広島からもっと強い発信を」と訴えた。
 使える核兵器をつくるための米核体制見直しを「高く評価」した安倍政権に対し、広島市は何の異議も示さなかった。▼長崎市は昨年から平和宣言で政府に対し核禁条約への署名を明確に求めているが、広島市は署名せよ、と言えないままでいる。▼原発問題には常にノーコメント。3年前に広島で開かれた世界核被害者フォーラムにメッセージを求められ、「脱原発」の文字があることを理由に拒んだ市長の姿勢は記憶に新しい
 私たちは、足元から核廃絶を求める運動を強めなければならない。議員に訴え、議会を動かし、市長が率先して政府や国会に働きかけるようにしなければならない。
 その絶好のチャンスが来春、訪れる。広島市長選挙である。
 私たちの願いは、核廃絶だけではない。▼地域住民の反対がありながら強行されている高速5号線・二葉山トンネル。その工事をめぐって交わされた契約のいかがわしさは何なのか。▼世界遺産である原爆ドームのバッファゾーンを無視し、特定の企業「かなわ」に便宜をはかった「かき船」の風景を私たちは許していいのか。▼2018年度から国民健康保険制度が変わる。5年前に比べ、保険料が5割も上がる世帯も出てくる。▼お年寄りのための公共交通利用助成事業は廃止方針が打ち出された。▼全国最多3万2千カ所の土砂災害危険区域が県内にあり、うち約6千カ所は広島市に集中している。危険に向き合った安全対策を本気で考える場が必要ではないか。▼9条改憲に突き進む安倍政権にモノ言えぬ広島市政を私たちは認めない。

 市民の痛みをわがこととし、自治体としての独自性を発揮する広島市政を私たちの手で実現しよう。市民の願いにこたえる市長を、市民の手で誕生させよう。そのために、きょうから、行動を起こそう。

                 2018年12月13日
                                                                                           広島マスコミ九条の会
                                                            日本ジャーナリスト会議(JCJ)広島支部
                                                               政府から独立したNHKをめざす広島の会 


松江市内は地震で通行不能に

島根原発避難計画のいま

 

 中国電力の島根原発に反対する「12・9動かすな島根原発広島集会 ― 島根原発の現状と避難計画は?」が12月9日、広島市中区で開かれた。「上関原発止めよう!広島ネットワーク」などが呼びかけ、70人が参加した。
 集会では「さよなら島根原発ネットワーク」の芦原康江さんが、事故が起きれば原発30キロ圏内の6つの自治体の合計約47万人が避難を余儀なくされ、広島県は約17万人を引き受けることになる。松江市内は老朽化した橋が多く、地震で通行不能になる可能性が高く、避難計画は渋滞が起きるなど困難を極めると指摘。さらに、来春以降の2号機再稼働に対して再び地元同意が問われるが、それまでに事前了解権付きの安全協定締結を実現させるよう中電に要求し、自治体等への要請を行うよう呼びかけた。

 「えねみら・とっとり」共同代表の山中幸子さんは中電の住民説明会について、7月6日の境港市では大雨警報が出る中で、延期を望む市民の声にもかかわらず、説明会を強行したと批判した。集会は、最後に原発再稼働反対や原発に頼らないエネルギー政策への転換を求めるアピールを採択した。
 広島・島根・鳥取のメンバーは10日、中国電力を訪れ、「2号機廃炉」などの申し入れを行った。
                                    (18.12.15) 


頻発する災害は「天災」だけか

被災後の「医療、社会保障」に目を

― JCJ 全国交流集会  in 熊本、大分、福岡に参加して ―

 

「大規模災害と医療・社会保障」をテーマに現地視察と取材を兼ねたJCJ全国交流集会が、10月19日から21日まで熊本、大分、福岡の3県被災地を巡って取り組まれた。JCJ会員の他に福岡県医労連、全国保団連や兵庫、大分、熊本、福岡の歯科保険医協会など医療関連機関の機関紙部をはじめ、朝日、毎日、熊本日日新聞、熊本県民テレビなど現地取材陣を含め総勢51人が参加した。取材を通して、過疎地ゆえに天災が人災をも招き、被災者の生活回復をいっそう複雑・困難にしている一端を見た。

 最初に訪れたのは、昨年4月に2度も震度7の激震に襲われ、壊滅的な被害にあった熊本県益城町。断層で大きく壊れた住宅や神社、水路や田畑を視た。町中心部の木山・宮園地区では、9割の家屋が倒壊、一部住宅や店舗は建ち始めていたが、2年半過ぎた今も雑草の茂る空き地が目立った。ここでは、「災害に強い街づくり」と称して県が進める土地区画整備事業が行き詰まっているという。その背景に空港への新道拡幅や区画整理で平均9.9%の個人所有地の供出や住居移転を迫られている。「整理後は路線価が上がるので損はないはず」との説明とか。コミュニティー重視の地域再建が置き去りにされ、行政主導・利権優先の計画に住民の反発は当然と見た。

 

 裏山が大崩落したが直撃を免れた地域拠点医療機関の阿蘇立野病院は、管内に被災者が多く、人口減少に職員も足りず、病床編成の困難に直面していた。被災直後に「病院閉鎖へ」と地元紙が1面トップで報じ問い合わせが殺到した。地域を守る責務を痛感していた上村晋一病院長は4日後、職員に「閉鎖はしない」と否定したが、「それは報道されなかった。いいこと、悪いこと、すべて報道してほしいが、継続した報道でないと…」との苦言、強く耳に残った言葉だった。
 データ改ざん問題が指摘された建築物の基礎耐震装置、医療活動への影響については南阿蘇の市立阿蘇医療センターで地下免震装置を実地に見ながら有効性の説明を受けた。それだけに報道されていた「データ改ざん」の及ぼす影響の大きさや危険性を実感することが出来た。

 震度7の激震に同センターの耐震装置は有効に働き電源や水道が確保され、医療機器も医療活動への影響も最小限に食い止めることが出来た。広域活動に医療ヘリコプターは欠かせないが、ヘリポートは地上に―と強調していた。屋上設置では強風時に離着陸できないし、停電すればエレベーターが止まり患者も運べない。検証報告には納得した。

 

    南阿蘇村では標高80㍍に及ぶ渓谷に掛かった「阿蘇大橋」の崩落現場を訪れ、ボランティア活動する佐野徳正さんから被災直後の状況などを聞き、眼前に広がるその被災規模の大きさに息をのんだ。
 大分県日田市と福岡県東峰村の境界地域で活動する病院「井上鶴川(かくせん)堂」では、僻地医療の問題点を聞いた。被災者が県境を越えての受診を遮られたり、医師自体も医療活動が制限されるなど、自治体政策が絡んで行政区画の壁が僻地被災者を苦しめる点も聞いた。今も仮設住宅に暮らす被災者からはボランティアと企業PR活動が混在して、感謝も半減した-との苦情も聞いて、驚いた。

 宿舎での報告・討論会では、福岡県社保協の岡崎誠次長から「農業以外の産業に乏しい過疎地では、天災が地域社会を破壊し、社会保険や医療費の収入減と住民負担の増大を招く側面があり、解決策を複雑にしている」との報告を聴いた。
 大災害の直後にメディアは支援募金やボランティア活動を呼びかけ、避難所や仮設住宅での不自由な生活や災害復興工事の進捗状況を報道する。しかし、日が経つと深刻になるのが被災地の「いのちと暮らし」に関わる医療や社会福祉の問題だが、その実態報道は少ない。安倍政権では「自助、共助、公助」論が強調され、予算不足を背景に救済策が先送りされ、悲劇を繰り返している。眼前に広がる被災地の実情を見るにつけ、5兆円を超える防衛予算など余りに違いすぎる金の使い方に憤りが禁じえなかった。

 

【写真】残ったT字型の道路標識が示すように渓谷をまたいでいた「あそおおはし・阿蘇大橋」の崩落現場   (南阿蘇村)

                                                                                                  JCJ広島支部 太田武男     (18.11.8) 

 


広告電通の危険な世論操作   

「国民投票」で本間龍さん

ヒロシマ総がかり行動が主催する「国民投票法」学習のつどいが12月2日、広島弁護士会館で開かれ、市民ら150人が参加した。9条改憲の発議を止めるため3000万署名に取り組む中、「万が一発議され、国民投票になったらどうなるのか」についても学ぼうと開かれた。 

つどいでは、広告代理店・博報堂に18年間勤務したジャーナリストの本間龍さんが「電通の広報戦略を暴く」というテーマで講演した。
 本間さんは、国民投票には広告規制がなく、予算と組織を持つ方が圧倒的に有利で無尽蔵に広告が打てると指摘。「第5の権力」と言われる電通が巨大な世論操作をする危険性を話した。
 「広告業界の圧倒的ナンバーワン企業である電通は、メディアを支配する力を十分持っている。そのことは、3・11以前の電力会社による膨大な広告の出稿量と、それに連動した報道の中身の変遷を見ればはっきりわかる」と指摘。「国民投票が行われたら、改憲スケジュールをすべて管理・把握し、巨額の資金を調達できる改憲派が圧倒的に有利。改憲派と護憲派のたたかいは、かつての大戦での『B29』と『竹槍(たけやり)』のたたかいのような状況になる」「しかも、改憲派はそのための準備をすでに着々と進めていることは間違いない」
 本間さんはこのように警鐘を鳴らした。改憲派の強力なプロパガンダに対抗するためには、一刻も早く護憲派はアイコンを決め、メディア・広告戦略構築を始めるべきと語った。 (18.12.4)

 


「森友事件は『国と府』の事件」(この項作業中)

 相澤記者 取材続行を表明  

 

    政府から独立したNHKをめざす広島の会(略称・NHKを考える広島の会)設立4周年のつどいが11月17日、広島市中区のアステールプラザ大会議室であった。NHKを8月末で退職し、新日本海新聞社が発行する大阪日日新聞に移籍した相澤冬樹論説委員・記者が、「これがNHKの実態!森友事件の本質と移籍の思い」を語り、104人が集まった。広島マスコミ九条の会と日本ジャーナリスト会議(JCJ)広島支部が共催した。
 56歳の相澤記者はNHK大阪で森友事件の取材を中心になって続け、いくつかのスクープをものにしてきた。ところが財務省の背任容疑に関する大阪地検特捜部の捜査がヤマ場を迎えていた今年5月、突然、取材も報道もできない職場に配転されたため、NHKを辞めて大阪日日新聞で森友事件の取材を続けている。
 講演で相澤記者は、「森友事件は、『森友学園』の事件ではない。9億円の土地をごみ撤去費用の名目で1億円で売った国と、設置要件を満たさない疑いのある小学校を無理やり認可しようとした大阪府による『国と府』の事件だ」「誰が見てもおかしな土地取引なのに、財務大臣も首相も『問題ない』と言い切る。私は、2つの謎を解明するまで、取材を続けるつもりだ」と語った。
 会場は、立見が出るほど参加者であふれ、用意した資料も足りなかった。約4万円のカンパが、会に寄せられた。

 【写真左】森友問題のスクープを連発したことでNHKをやめるに至った経緯を話す相澤記者

 【写真右】会場一杯の 105人が参加したつどい              

                                   (18.11.19) 





11・3憲法のつどいに320人

亀石弁護士、「個人の尊重」をわかりやすく話す

 

   戦争させない・9条壊すな!広島総がかり行動実行委員会は11月3日、「憲法のつどい・ひろしま2018」を広島弁護士会館で開き、市民320人が参加した。
   集会のテーマは「日本国憲法と個人主義」。大阪弁護士会の亀石倫子弁護士が講演し、夫婦別姓訴訟の原告である恩地いづみさん(広島)が「不安なく違っていられる社会へ」と題した特別報告を行った。
亀石さんは憲法13条が定める「個人の尊重」「生命・自由・幸福追求の権利」を自民党憲法改正草案(2012年)と比較しながらわかりやすく説明。自身が弁護を担当した「GPS捜査」で、最高裁が令状のない捜査を批判し立法によるルール化に踏み込んだ判決を出すまでの経緯を語った。プライバシーとは? 国家による監視がもたらすものは何かと問いかけ、スノーデン氏の言葉を引用して「プライバシーの権利は、自分にとって都合の悪いことを隠すためにあるのではなく自分が自分であるために必要な権利だ」と強調した。
   集会は冒頭、エリザベト音大の社会人コースでフルートを学んでいる女性4人のフルート演奏で始まり、講演の後、ヒロシマ総がかり行動の高瀬均事務局長が3000万人署名について「全国で1800万筆集まっている。県内では現在22万7千筆余り。年内には県内30万筆をぜひ達成しよう」と呼びかけた。会場でのよびかけに応え、15万3717円のカンパが集まった。          (18.11.4) 


11月3日 憲法のつどい 亀石弁護士 

ヒロシマ総がかり行動実行委員会

11月17日  森友問題スクープ記者が講演

 NHKから大阪日日新聞に移籍

   NHK大阪で森友事件を担当。スクープを連発したあと配転されたことにより、記者を続けるために8月末でNHKを辞め、この9月から「大阪日日新聞」に移った相澤冬樹記者(55)が広島で講演する。主催は、政府から独立したNHKをめざす広島の会(略称・NHKを考える広島の会)など3団体。

 相澤記者は移籍後、大阪日日新聞紙上で「森友事件で私が特ダネニュースを出した後に報道局幹部が激怒したこと、(同じ事件で)別の特ダネを出した際に圧力があったことは事実です」などと、森友報道をめぐってNHK内であった圧力の実態を具体的に語っている。
 「考える会」などは、森友報道をめぐってNHKの内部で何があったのか、相沢記者の話をぜひ聞いてほしいと参加を呼びかけ、NHKの報道について、日ごろ思っていることなど意見交換することにしている。

  ◆と き:11月17日(土)13:00~15:00
  ◆ところ:アステールプラザ4階 大会議室A  (広島市中区加古町4-17)
  ◆資料代:500円(学生・障がい者は無料)
  ◆主 催:NHKを考える広島の会▼広島マスコミ九条の会▼日本ジャーナリスト会議(JCJ)広島支部

 ※下記は、宣伝用のチラシ
                                                                                                                  (18.10.31) 


「ビラ配りは警察の許可が必要」を撤回

広島市  市民団体に回答

 

  広島市のホームページ「よくある質問と回答」のコーナーに、「歩道でビラ配りしたいが、許可が必要ですか」という質問が掲載され、市側が「道路でのビラ配りなどは、警察の許可が必要です」「その道路を管轄する警察署で『道路占用許可』の申請をしてください」と回答していた問題をご存知だろうか。

 このことを知った弁護士や市民団体が10月16日、市役所を訪れ、当局(道路交通局道路管理課管理係)に、その理由と根拠を示すよう求めた。

 市は即日(16日夕)、当該ページを削除していたが、24日付の文書で「誤解を招く不十分な内容であったと判断し、(ホームページから)当該ページを削除しました」と申し入れ団体に回答した。削除した理由について「判例等を精査し、警察に問い合わせた結果、『道路でのビラ配りについて、道路使用の許可が必要なものは交通に著しい影響を及ぼすような場合であって、一律に許可が必要なものではない』と確認しました」と明記している。

   下記は、削除前の広島市ホームページ(部分)

                                    (18.10.26) 

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<ご挨拶> 

 JCJ広島の新しいホームページを開設しました。下記は今年7月以降の記事です。

 今後ともよろしくお願いいたします。             (18.10.26)

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「アベ忖度」過ぎる政治ニュース

 NHKに「考える会」が申し入れ

 

 「NHKを考える広島の会」は9月13日、NHK広島放送局を訪れ、受信料で運営する公共放送NHKとして、視聴者の「知る権利に応える」報道で、その責務を果たすよう申し入れた。同会の世話人8人が参加した。

 膨大な資料や証言を駆使した「8月番組」の諸企画、例えばETV特集「自由はこうして奪われた~治安維持法10万人の記録~」などの力作を評価する一方で、ニュース報道では、政治ニュースを筆頭に「アベ忖度」が過ぎると、事例を挙げて抗議した。相次ぐ災害関連の報道でさえ、最近は政府・行政などの発表・発言報道が目立ち、掘り下げた解説や関連取材が少なく、特に「モリカケ」関連では民放と比べても報道は極端に少ない点などを指摘、「アベ忖度の加速現象」ではないかと追及した。

 安倍首相の改憲発言の報道、例えば3日の自衛隊幹部会同で「自衛隊明記改憲」への意欲を示した首相訓示は99条(憲法尊重擁護義務)違反が明白であり、発言をそのまま報道するNHKの見解を求めた。

                                      (18.9.30)

 


かき船裁判で不当判決 
原告団は控訴の方針

  

 2015年、広島市元安川にかかる平和大橋の南側から、上流の原爆ドームから200メートルに移転・新設が強行されたかき船「かなわ」をめぐり、被爆者や付近住民らが国の河川占用許可の取り消しを求めていた裁判が9月19日、広島地裁であり、小西洋裁判長は原告の訴えを退け原告敗訴の判決を出した。
 裁判で「かき船の移転が世界遺産の景観を損ね、平和を祈る場としてふさわしくない。歴史的・文化的価値を享受する権利が損なわれる」と主張してきた被爆者らについては訴えを起こす資格がないとして訴えを却下。また、住民が洪水や高潮でかき船が流出する危険性があるとして訴えていた部分については、原告資格を認めたうえで、「治水上、直ちに支障はない」として訴えを棄却した。原告団の金子哲夫団長は判決後、控訴する方針を明らかにした。                                                                      (18.9.20)

  【写真】報告集会で判決の内容を伝える石口俊一弁護士

 


 

JCJ「不戦のつどい」

 話題の白井聡さん講師に

  JCJ(日本ジャーナリスト会議)広島支部主催「不戦のつどい」(9月2日)は、いま若者らに広く話題を呼んでいる『国体論 菊と星条旗』(集英社新書)の著者、京都精華大専任講師・白井聡さん(41)から「平成の終わりと『戦後の国体』の終焉」と題して問題提起の講演を聞く。

 沖縄の米軍辺野古基地建設や岩国海兵隊基地強化、自衛隊軍備の拡大…なぜこうもアメリカ言いなりなのか、「積極的平和主義」という「アベ9条改憲」、日米軍事一体化の「戦争法」推進なのか。白井さんは戦後日本が天皇制からGHQ支配へ、菊と星条旗が結合し憲法の上に日米安保条約をいただく対米従属一辺倒の政治体制「国体」が誕生した―とする。若い白井さんの明快な「戦後と今」の解析に期待したい。

 

 

広島文団連平和とうろう集会

江種さん 金輪島被爆を語る

 

 広島文団連主催の第35回平和とうろう集会が7月21日、広島市中区で開かれ、元中学校教師の江種祐司さんが「今、伝えたい~被爆証言、命の限り」と題して講演した。

 1927年生まれで90歳を超える高齢にもかかわらず自ら体験した核兵器の悲惨さ、戦争の理不尽さを力強く告発する江種さんの言葉に、参加者は引きつけられた。

 江種さんは広島師範学校在学中に宇品の船舶司令部に動員され、広島湾に浮かぶ金輪島で弾薬や衣服などを運搬する作業に当たっていた。作業中に原爆がさく裂、頬に熱を感じ、立ち上る原子雲を目撃した。江種さんは、原爆投下後、地獄と化した広島市内で被爆者の救援にあった兵士の多くが、沖縄などに出撃するため訓練を受けていた船舶特攻隊の兵士だったことを振り返り、犠牲となった兵士や放射能の後遺症に苦しんだ大勢の若い命に改めて目を向けることを呼びかけた。また、元教員の立場から昨今の教育に触れて、原爆や戦争のことを知らない子供たちが増えていることに強い危惧を示した。

                                      (18.7.30)